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キモヲタ☆ノーガード! #6

 8月9日、金曜日。
 まさかの、デート。
 相手はそれをデートだと思っているのだろうか。それとも、
奇妙な従兄に付き合わされただけだと思っているのだろうか。
 発端は、たまたまおふくろが多忙で、Fさんと二人で昼食を
頂くことになったことだった。
 初めての、二人メシである。
 彼女はラクト・ベジタリアン生活を続けているので、日本で
外食するのは難しい。だが、中野近辺には、たまたま菜食主義
に対応出来る素敵なお店があったのだ。なんと、スイーツまで
卵不使用という徹底ぶりで、値段も手頃である。
 二人メシということは、自然と会話が多くなる。そして俺は
自分を隠すのが下手な人間である。だから、俺は更に自分自身
を色々と曝け出したのだった。
 翌日からコミックマーケット、略してコミケという世界最大
規模の同人誌即売会へ行くことも伝えた。
 我らヲタどもの祭典である。
 「ちょっと見に行ってみるか?」と、ダメ元で誘ってみた。
 すると「いいよー面白そう」と、嬉しい反応が返って来た。
 彼女はその弟と一緒に台湾で日本のアニメを見ていた上に、
向こうでの同人誌即売会に参加こそしたことは無いらしいが、
参加している友人から大雑把な知識を伝えられていたらしい。
 お陰で、色んな説明を省くことが出来た。なんという僥倖。
 コミケ10年戦士として、その魅力を伝えられるチャンスが
あるなら、そこは前のめりになってしまうものである。
 「とりあえず、一度会場見に行ってみないか」
 そう言うと、彼女は「はい」とにこやかに頷いたのだった。
 道中、ようやく俺は自分のことを喋るよりも、相手のことを
聞き出すことに時間を使うことが出来るようになった。
 向こうでの大学時代や学園祭の話。日本語学校での出来事。
話題は多岐に及んだ。特に宗教や文化という、かつて研究者の
卵として俺が興味を示していた分野についてディープな会話が
出来るというのは、かなり嬉しい発見だった。20代前半で、
こういうスピリチュアルな話が出来る人間なんて、俺はあまり
知らない。日本では、宗教的な話に関心を持つ人などごく少数
ということもあって、とても新鮮な感じがした。
 彼女が向こうで使っているハンドルネーム、即ちネット上で
使う偽名も教えて頂いた。
 「マリサ」と云う。
 某道具屋の娘、某普通の魔法使いとは関係無さそうだ。
 実際英語の綴りを見たら「メリッサ」と発音した方が正しい
のだが、本人の発音が「マリサ」に近いので、以下、Fさんは
マリサと呼称することに決める。
 しかし、ラクトガールなのにマリサとは、なんだか不思議な
感じがする。でも某魔法図書館主が某爆窃少女の八卦炉を得る
ことが出来たら、かなり凄いことになりそうではある。
 …などと考えているうちに、俺達はコミケが開催される国際
展示場こと東京ビッグサイトにたどり着いた。俺の魂の故郷、
逆三角形、または台形とも呼ばれる、大展示場施設だ。
 この日は設営日で、沢山の偉大な有志達が会場設営を行って
いたが、俺達が到着した午後2時半には既にあらかた終了して
いる様子だった。
 ビッグサイト東館や西館の様子を見せていく内に、マリサは
そのとてつもない規模を薄々感じ取ってくれたようで、何度も
「面白い」と言っていた。
 一通り回った時点で、俺達はビッグサイト横にある水上バス
乗り場に着いていた。
 彼女はキラキラ光る水面を見て「綺麗」と、言った。
 海が、好きなのか。
 …それは、突然の思いつきだった。
 「この水上バスに乗って帰ろうか」
 折角合縁奇縁、従兄妹同士になったわけだし、やはり喜んで
貰いたかったのだと思う。
 潮風吹き抜ける中、船上で楽しそうに首都湾岸地域の風景に
かじりつくマリサを、俺はぼんやりと眺めていた。
 ふと、脳裏に某ライトノベルの題名に近い言葉が浮かんだ。
 「俺の従妹がこんなに可愛いわけがない」
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